【二十四節気】
立冬(りっとう)

立冬(りっとう)とは、二十四節気の19番目にあたり、暦の上では冬の始まりを表します。例年、11月7日頃から11月21日頃にあたり、寒い地域では初雪の便りが届く季節です。
立冬とは
11月7日〜11月21日頃
暦の上で冬の始まりを告げる「立冬(りっとう)」。名前のとおり、冬が立つ時期。寒い地域では初雪の知らせが届く頃です。
日差しは少しずつやわらかくなり、朝晩の空気には冬の気配が感じられるようになります。
木々の葉は赤や黄色に染まり、足元には落ち葉が重なっていく頃。日中は穏やかに過ごせる日もありますが、日が沈むと気温がぐっと下がり、季節が確かに冬へ向かっていることに気づかされます。
澄んだ空気のなかで山々の輪郭がくっきりと見えたり、夕暮れの空がひときわ美しく感じられたりするのも、この時期ならではの景色です。
冬支度を少しずつ始めながら、秋の名残も楽しめる。立冬は、二つの季節が静かに重なり合う頃です。
立冬の七十二候
11月7日〜11日頃「山茶始開(つばきはじめてひらく)」

山茶花(さざんか)が咲き始める頃。
候の名前には「つばき」とありますが、ここでいう山茶は、冬の初めに花を咲かせるサザンカを指すとされています。
木々の葉が落ちはじめ、景色から色が少なくなっていくなかで、白や桃色、赤色の花が鮮やかに開きます。冷たい風に揺れながら咲く姿は、冬の訪れを知らせる小さな灯りのようです。
花びらを一枚ずつはらはらと落とす様子にも、サザンカならではの風情が感じられます。
11月12日〜16日頃「地始凍(ちはじめてこおる)」

大地が初めて凍り始める頃。
夜のあいだに冷え込んだ土や水たまりが、朝になるとうっすらと凍っていることがあります。草木の表面に降りた霜が朝日を受けて輝く景色も、冬の入り口を感じさせます。
まだ本格的な寒さではないものの、手袋や厚手の上着が恋しくなる日も増えてきます。
足元の小さな変化や、吐く息の白さに気づくことで、季節がまた一歩進んだことを知るのです。
11月17日〜21日頃「金盞香(きんせんかさく)」

水仙(すいせん)の花が咲き、香りを漂わせ始める頃。
ここでいう「金盞」は、一般的にキンセンカと呼ばれる花ではなく、黄色い花の中心を金の盃に見立てた水仙を指すとされています。
すっと伸びた葉の間から咲く、白く清らかな花。寒さのなかでも凛と咲くその姿は、静かな冬の景色によく似合います。
近くを通ったときにふわりと届く甘く澄んだ香りも、水仙の魅力のひとつです。
立冬の旬の食べ物・行事
立冬を迎える頃、食卓には体を内側から温めてくれる食材が増えてきます。
大根、かぶ、れんこん、白菜、長ねぎ、ほうれん草。寒さが深まるにつれて甘みを増す野菜は、煮物や鍋料理、温かい汁物にぴったりです。
ちなみに立冬の日でもある11月7日は、語呂合わせで「11(いい)7(な)べ=いい鍋の日」に制定されています。

じっくりと火を通した大根やかぶは、だしの味をたっぷりと含み、やわらかな味わいに。白菜や長ねぎを鍋に加えれば、湯気とともに冬のごちそうが食卓を包みます。
果物では、柿やりんご、みかんなどが出回る季節です。鮮やかな色合いは、落ち着いた冬の景色のなかに明るさを添えてくれます。
海の幸では、牡蠣や蟹などが少しずつ旬を迎えます。鍋や蒸し料理にすれば、素材のうまみを余すことなく楽しめます。

11月には、子どもの健やかな成長を願う「七五三」が行われます。晴れ着に身を包んだ家族の姿は、秋から冬へ移り変わる街の風景を華やかに彩ります。

また、各地の神社では商売繁盛を願う「酉の市」が開かれ、縁起物の熊手を求める人々でにぎわいます。寒い夜の境内に並ぶ提灯や露店の明かりも、冬の始まりを感じさせる風物詩です。
立冬に関する豆知識
「立冬」と「冬至」の違いは?
立冬と冬至はどちらも冬を表す節目ですが、その意味や季節の位置づけには違いがあります。
立冬とは、「冬の始まり」を指します。
立冬は、暦の上で冬が始まる日です。例年11月7日頃にあたり、朝晩の冷え込みが増し、木々が葉を落とし始める頃。まだ秋らしい暖かさが残る日もあります。
一方で、冬至は「昼がもっとも短い日」のこと。
冬至は、1年のなかでもっとも昼が短く、夜が長くなる日です。例年12月21日頃にあたり、立冬からおよそ1か月半後。本格的な寒さはこの先に続きますが、冬至を境に昼の時間は少しずつ長くなっていきます。
つまり、立冬は冬の入口、冬至は冬の折り返しを感じる節目です。
小春日和はいつのこと?
小春日和とは、晩秋から初冬にかけて訪れる、春のように穏やかで暖かな晴天のこと。一般的には、旧暦10月にあたる11月頃の陽気を指します。名前に「春」とありますが、春先の暖かな日を表す言葉ではありません。
暦の上では冬の始まりとなる立冬を迎えても、日中にはやわらかな日差しが降り注ぎ、上着を脱ぎたくなるような暖かな日があります。朝晩の冷え込みや短くなった日暮れに冬の気配を感じる一方で、昼間には秋のぬくもりが戻ってきたように思える。そんな季節の境目ならではの穏やかな一日を「小春日和」と呼びます。
寒さが本格化する前の、ほっと心がほどけるような陽気。立冬の頃に訪れる小春日和は、過ぎゆく秋をゆっくり味わいながら、冬支度を進めるための小さなひと休みのようです。
立冬におすすめの枝もの
立冬を迎える頃、店にはパンパスグラスや野ばら、ヤシャブシなど、晩秋から冬への移ろいを感じさせる花材が並び始めます。
なかでもパンパスグラスは、ふんわりと広がる穂とやわらかな色合いが印象的。風を含んで軽やかに揺れる姿には、過ぎゆく秋の余韻と、静かに近づく冬の気配が感じられます。

野ばらは、しなやかに伸びる枝に小さな赤い実をつける枝もの。自然な枝ぶりと素朴な実の表情が、過ぎゆく秋の余韻と冬の始まりを感じさせてくれます。

枝ものを飾ると、紅葉が終わり冬へ向かう季節の移ろいを、室内でもゆっくりと感じられます。立冬は暮らしの中に冬を迎える準備を始めるのにぴったりの節気です。
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立冬のまとめ
暦の上で冬が始まる立冬は、秋の余韻を残しながら、空気や光が少しずつ冬の表情へと変わっていく頃。
色づいた葉が風に舞い、朝の地面には白い霜が降りる。日が暮れる時間も早くなり、家の明かりや温かな食事に、ほっとする瞬間が増えていきます。
寒さを遠ざけようとするだけではなく、澄んだ空気や冬の花、湯気の立つ料理など、この季節だからこそ出会えるものに目を向けてみること。
それは、長い冬を心地よく迎えるための、小さな冬支度なのかもしれません。
衣替えをしたり、温かな寝具を用意したり、部屋に季節の枝ものを飾ったり。暮らしのなかに少しずつ冬のしつらえを取り入れてみてはいかがでしょうか。
日に日に冷たくなる風を感じながら、移ろいゆく季節をゆっくりと味わってみてください。
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