【二十四節気】
小満(しょうまん)

小満(しょうまん)とは、二十四節気の8番目にあたり、草木や生きものが成長し、生命が満ち始める頃です。例年5月21日頃に始まり、次の節気である芒種の前日頃まで続きます。木々の緑は日に日に濃くなり、麦は実りの季節へ。田んぼにも水が張られ、初夏らしい生命力にあふれた景色が広がります。
小満とは
5月21日頃〜6月5日頃
草木や生きものが成長し、あらゆるものが少しずつ満ちていく頃を表す「小満(しょうまん)」。二十四節気では、立夏の次にあたる8番目の節気です。
春に芽吹いた木々の葉はすっかり広がり、若々しかった新緑も日に日に色濃くなっていきます。
田んぼには水が張られ、田植えの準備が進む頃。一方、春に育った麦は黄金色に変わり、収穫の時期を迎えます。
「小満」という言葉には、万物が少しずつ成長して満ちていくという意味があります。農作物が順調に育ち、実りの姿が見え始めることで、ひと安心できる頃ともいわれてきました。
日差しには夏らしい力強さが加わりますが、真夏のような蒸し暑さはまだ少なく、風には爽やかさが残っています。
緑が満ち、田畑にも実りの気配が広がっていく小満。身のまわりにある小さな成長や豊かさに気づかせてくれる季節です。
小満の七十二候
5月21日〜25日頃「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」

蚕が目を覚まし、桑の葉を盛んに食べ始める頃。
蚕は、絹の原料となる繭をつくる生きものです。養蚕が盛んだった地域では、この時期になると蚕の成長を見守りながら、毎日たくさんの桑の葉を与えて育ててきました。
小さな蚕たちが一斉に桑の葉を食べる音は、「蚕時雨(かいこしぐれ)」とも呼ばれます。
静かな蚕室に、まるで雨が降っているような音が広がる。そんな光景からも、生きものが勢いよく成長する小満らしさを感じることができます。
5月26日〜30日頃「紅花栄(べにばなさかう)」

紅花が、鮮やかな花を咲かせ始める頃。
紅花は、古くから染料や化粧料などに利用されてきた植物です。咲き始めは黄色く、次第にオレンジ色や紅色へと変化していきます。
初夏の日差しを受けて咲く鮮やかな花は、緑が深まっていく野山にも明るい彩りを添えてくれます。
花の色が少しずつ変化していく姿にも、季節が春から夏へと移り変わっていく様子が重なります。
5月31日〜6月5日頃「麦秋至(ばくしゅういたる)」

麦が黄金色に色づき、収穫の時期を迎える頃。
「麦秋(ばくしゅう)」には「秋」という字が使われていますが、季節としては初夏。麦にとっての実りの季節を「秋」にたとえた言葉です。
一面の麦畑が初夏の風を受けて揺れる姿は、黄金色の波のよう。新緑とはまた違った、この時期ならではの美しい景色です。
麦が収穫を迎える一方で、田んぼには水が張られ、田植えも本格化していきます。ひとつの実りを迎えながら、次の実りに向けた営みも始まる頃です。
小満の旬の食べ物・行事
小満の頃には、初夏のみずみずしさを感じられる食材が豊富に出回ります。
野菜では、そら豆やグリーンピース、スナップえんどう、いんげんなど、鮮やかな緑色の豆類が旬を迎えます。
初夏の豆は、みずみずしい食感とやさしい甘みが魅力。さっと塩茹でするだけでも、素材そのものの香りや味わいを楽しめます。

魚では、若鮎やイワシ、カツオなどが初夏の味覚として親しまれています。
なかでも若鮎は、この季節ならではの食材の一つ。塩焼きにすると香ばしい皮とやわらかな身を楽しむことができ、ほのかな苦みや香りにも初夏らしさが感じられます。

また、この頃は各地で田植えが行われる季節です。
地域によっては、田植えの無事や五穀豊穣を願う田植え祭りなどが行われます。田植え歌に合わせて早乙女が苗を植える伝統的な行事も、自然とともに暮らしてきた日本の文化を今に伝えています。
麦の収穫と田植えが重なり、食卓にも田畑にも季節の恵みが感じられる小満。実りと新しい成長が行き交う、初夏らしい時期です。
小満に関する豆知識
小満の頃に行われる「御田植祭」とは?
小満を迎える5月下旬から6月初め頃は、各地で田植えが進む時期の一つです。田んぼに水が張られ、苗が植えられていく風景は、初夏を代表する景色の一つです。
この頃から6月にかけて、地域によっては田植えの無事や五穀豊穣を願う「御田植祭(おたうえまつり)」や「田植祭」などの伝統行事が行われます。
御田植祭では、田植え歌や笛、太鼓などに合わせて苗を植え、その年の豊かな実りを願います。苗を植える女性たちは「早乙女(さおとめ)」と呼ばれ、地域によっては菅笠や華やかな衣装を身につけて田に入ります。

田植えは、かつて単なる農作業ではなく、田の神を迎え、その年の豊作を願う大切な行事でもありました。そのため、神社の神田などでは、現在も田植えを神事として行う地域があります。
麦が収穫を迎える一方で、田んぼでは新しい稲が育ち始める小満の頃。ひとつの実りを迎えながら、次の実りを願う季節の移り変わりを、御田植祭の風景からも感じることができます。
初夏なのに「麦秋」と呼ぶのはなぜ?
小満の七十二候には、「麦秋至(ばくしゅういたる)」という言葉が登場します。
「秋」と書かれているため秋の季節を思い浮かべますが、麦秋は5月末から6月頃の初夏を表す言葉です。
昔から「秋」には、単に季節としての秋だけでなく、穀物が成熟し、収穫を迎える時期という意味もありました。
春に育った麦が黄金色に熟し、収穫の時を迎える初夏は、麦にとっての「秋」。そのため、この頃の景色を「麦秋」と呼びます。
鮮やかな新緑と黄金色の麦畑が同時に広がるのは、小満ならではの風景。言葉を知ることで、いつもの初夏の景色にも少し違った季節の表情が見えてきます。
小満におすすめの枝もの
緑がいっそう深まり、春から夏へと季節が移り変わる小満の頃には、新緑と初夏の花姿を楽しめる枝ものがおすすめです。
なかでも、この季節に飾りたいのがスモークツリーです。
スモークツリーは、枝先に煙や綿毛のようなふわふわとした姿を広げる、初夏を代表する枝ものの一つです。
やわらかく広がる姿には独特の存在感があり、数本をゆったりと生けるだけでも、部屋に軽やかな初夏の景色が生まれます。

もう一つおすすめしたいのが、ヤマボウシです。
ヤマボウシは、緑の葉のあいだから白い花のような苞(ほう)を広げる、涼しげな印象の枝ものです。
初夏らしい鮮やかな緑と白の組み合わせは爽やかで、これから梅雨へ向かう季節の室内にも、すっきりとした明るさを添えてくれます。

ふんわりとしたスモークツリーと、すっきりとした緑が美しいヤマボウシ。表情は異なりますが、どちらも春から夏へと移り変わる小満の季節によく似合います。
日に日に満ちていく緑や、初夏ならではの花姿を部屋に迎えて、季節が少しずつ夏へ向かっていく様子を楽しんでみてはいかがでしょうか。
【枝もの図鑑】スモークツリー
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【枝もの図鑑】ヤマボウシ
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小満のまとめ
小満は、草木や生きものが成長し、あらゆる生命が少しずつ満ちていく頃です。
蚕は桑の葉を食べ、紅花が咲き、麦は黄金色に実る。七十二候にも、初夏を迎えた自然が豊かに成長していく様子が描かれています。
そら豆などのみずみずしい豆類や若鮎を味わい、田んぼでは新しい実りに向けた田植えが始まります。
部屋にはスモークツリーやヤマボウシなどの枝ものを飾り、日に日に深まる緑や、初夏ならではの花姿を楽しむのもおすすめです。
新緑を揺らす風、黄金色に染まる麦畑、水をたたえた田んぼ。
大きな変化だけでなく、身のまわりで少しずつ満ちていくものに目を向けながら、爽やかな小満の季節を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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