【二十四節気】
大寒(だいかん)

大寒(だいかん)とは、二十四節気の24番目にあたり、一年でもっとも寒さが厳しくなる頃です。例年1月20日頃に始まり、次の節気である立春の前日頃まで続きます。小寒から始まった「寒の内」も終盤を迎え、冷たい風や雪、凍えるような朝など、冬の深まりをもっとも強く感じる季節です。
大寒とは
1月20日頃〜2月3日頃
一年でもっとも寒さが厳しくなる頃を表す「大寒(だいかん)」。二十四節気では最後の節気にあたり、冬の季節もいよいよ終盤を迎えます。
小寒の初日に始まった「寒の内」は、大寒を経て立春の前日まで続きます。冷え込みがさらに厳しくなり、地域によっては雪が積もったり、池や川に厚い氷が張ったりすることもあります。
「大寒」という名前の通り、暦の上では一年でもっとも寒さの厳しい時期とされています。朝晩の空気は鋭く冷え、吐く息が白くなり、霜柱やつららなど冬ならではの景色を目にする機会も増えます。
しかし、厳しい寒さのなかでも、自然は少しずつ春へ向かっています。昼の長さは日に日に伸び、木々の枝先には小さな芽がふくらみ始めます。
冬の寒さが極まると同時に、次の節気はいよいよ「立春」。大寒は、深い冬の静けさのなかに、もうすぐ訪れる春の気配を感じる節目です。
大寒の七十二候
1月20日〜24日頃「款冬華(ふきのはなさく)」

雪や凍った土の下から、ふきのとうが顔を出し始める頃。
「款冬(かんとう)」とは、ふきのこと。まだ厳しい寒さが続くなか、地面から小さな芽を伸ばすふきのとうは、春を知らせる植物の一つとして親しまれてきました。
淡い緑色の芽は、茶色や白が中心だった冬の景色に、小さな彩りを添えてくれます。
寒さのもっとも厳しい大寒の頃に咲き始めるその姿からは、目には見えないところで、春の準備が着実に進んでいることを感じられます。
1月25日〜29日頃「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」

沢を流れる水さえも、厚く凍りつく頃。
大寒らしい厳しい冷え込みによって、山あいの小川や池などにも氷が張り、冬の寒さがもっとも深まった景色が見られます。
「腹堅(あつくかたし)」という言葉には、水の表面だけではなく、厚くしっかりと凍りつく様子が表されています。
冷たい空気に包まれた静かな水辺は、冬の厳しさと美しさを感じさせる、この季節ならではの風景です。
1月30日〜2月3日頃「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」

鶏が春の気配を感じ、卵を産み始める頃。
現在では一年を通して卵を手に入れることができますが、昔の鶏は、日の長さや季節の変化に合わせて産卵していました。
冬至を過ぎ、少しずつ日が長くなってくると、鶏もその変化を感じ取り、春に向けた営みを始めます。
大寒の最後に置かれた「鶏始乳」は、厳しい冬が終わり、いよいよ春が近づいていることを感じさせる七十二候です。
大寒の旬の食べ物・行事
一年でもっとも寒さが厳しい大寒の頃には、体を内側から温める食べ物や、寒さを生かした昔ながらの食文化が多く見られます。
旬の野菜には、大根、白菜、長ねぎ、ほうれん草、小松菜などがあります。寒さにさらされた冬野菜は、凍らないように糖分を蓄えるため、甘みを感じやすくなるといわれています。
鍋料理や煮物、温かな汁物にすると、冬野菜のおいしさをたっぷりと味わえます。湯気の立つ食卓を囲む時間も、寒い季節ならではの楽しみの一つです。

魚では、ぶり、たら、あんこうなどが冬の味覚として親しまれています。脂ののったぶりは刺身や照り焼き、ぶり大根に。淡白なたらやあんこうは鍋料理によく合います。
また、大寒の頃に産まれた卵は「大寒卵」と呼ばれることがあります。

昔は冬になると鶏の産卵数が少なくなったため、寒い時期に産まれる卵は栄養を蓄えていると考えられ、縁起のよいものとして大切にされてきました。
さらに、大寒の頃は味噌や醤油、日本酒などを仕込む「寒仕込み」の季節でもあります。気温が低く雑菌が繁殖しにくいため、発酵食品をゆっくりと熟成させるのに適した時期とされてきました。
自然の寒さを利用しながら、おいしいものをつくる。大寒の食文化には、季節とともに暮らしてきた人々の知恵が息づいています。
大寒に関する豆知識
大寒は本当に一年でもっとも寒い?
暦の上では、大寒は一年でもっとも寒さが厳しくなる頃とされています。
冬至は一年でもっとも昼が短い日ですが、実際の気温がもっとも低くなる時期とは少しずれがあります。
地面や海は、太陽から受け取る熱が少なくなっても、すぐに冷え切るわけではありません。そのため冬至を過ぎてからもしばらく気温は下がり続け、日本では1月下旬から2月上旬頃に厳しい寒さを迎える地域が多くあるのです。
ちょうどその時期と重なるのが「大寒」です。
しかし、大寒を過ぎれば次は立春。寒さのピークを迎えるということは、同時に冬の終わりが近づいているということでもあります。
「寒仕込み」が大寒の頃に行われるのはなぜ?
味噌や醤油、日本酒などを寒い時期に仕込むことを「寒仕込み」といいます。
一年でもっとも気温が低い大寒の頃は、雑菌が繁殖しにくく、発酵をゆっくりと進めやすい時期です。
低い気温のなかで時間をかけて発酵・熟成させることで、味わいや香りが深まると考えられてきました。

現在では温度管理の技術が進み、一年を通して仕込みを行うこともできます。それでも、寒仕込みという言葉や習慣は、日本の食文化のなかに今も残っています。
厳しい寒ささえも、おいしいものを育てるための力として生かす。大寒には、自然の巡りに寄り添って暮らしてきた人々の知恵を感じることができます。
大寒におすすめの枝もの
大寒を迎える頃には、まだ冬の静けさを感じさせながら、枝先に春の訪れを予感させる枝ものがおすすめです。
なかでも梅は、厳しい寒さのなかでいち早く花を咲かせる、春を告げる枝ものの一つです。
固かった蕾が少しずつふくらみ、白や淡いピンクの花を咲かせる姿には、寒さのなかでも凛とした生命力があります。

まだ寒い室内で少しずつ花が開いていく様子を眺めていると、一足早く春を迎えるような気持ちになります。
もう一つおすすめしたいのが、ネコヤナギです。
細い枝についた芽を覆う殻が取れると、銀白色のふわふわとした花穂が姿を見せます。そのやわらかな質感は、冬の終わりから春へ向かう季節ならではの表情です。

ネコヤナギは、すっと伸びる枝の線と丸みのある花穂の対比が美しく、数本をシンプルに飾るだけでも存在感があります。
梅とネコヤナギを合わせて飾れば、まだ冬の空気を残しながらも、春の訪れを感じる軽やかな景色をつくることができます。
外では冷たい風が吹いていても、植物たちは少しずつ春を迎える準備を始めています。大寒の枝ものを部屋に迎えて、少しずつ近づいてくる春を楽しんでみてはいかがでしょうか。
【枝もの図鑑】ネコヤナギ
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大寒のまとめ
大寒は、一年でもっとも寒さが厳しくなり、「寒の内」の終わりを迎える頃です。
沢の水が厚く凍り、冷たい風が吹く冬の深まりのなかでも、地面からはふきのとうが顔を出し、少しずつ春の気配が現れ始めます。
冬野菜や旬の魚を温かな料理で味わったり、寒さを生かして味噌や日本酒を仕込んだり。大寒の暮らしには、厳しい冬を上手に生かしてきた昔の人々の知恵が息づいています。
部屋には梅やネコヤナギの枝を飾り、少しずつふくらむ蕾や芽を眺めてみるのもおすすめです。
一年でもっとも寒い季節を越えれば、暦の上ではいよいよ春。
冬の静かな景色のなかに隠れている、小さな春の兆しを見つけながら、季節の移ろいを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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