野バラの特徴と飾り方|秋に緑から赤に色づく、可愛らしい実をつける枝もの

ノバラの基本情報
| 植物名 | ノバラ(野薔薇) |
| 学名 | Rosa multiflora |
| 英名 | Japanese Rose, Wild Rose |
| 別名 | ノイバラ、ウバラ、ウマラ |
| 科目/属性 | バラ科/バラ属 |
| 分類 | 落葉広葉/つる性低木 |
| 原産地 | 日本(北海道〜九州)、朝鮮半島 |
| 流通時期 | 9~11月 |
| 流通量 | ★★★★☆ |
| 持ちのよさ | ★★★★☆ |
※★は5段階です
ノバラの特徴
ノバラは、バラ科バラ属の落葉広葉樹で、日本の野山に自生する素朴な美しさを持つ植物です。春から初夏にかけて白い花を咲かせた後、季節が進むにつれて緑の可愛らしい小さな実をつけ、徐々に赤い色に変化し、秋の風景に彩りを添えます。
その実は、つやつやと輝き、枝先にぽつぽつと灯るように実る姿は、秋の訪れを静かに告げてくれます。
野鳥たちにとってはごちそうであり、人の目には季節の移ろいを感じさせる風物詩。
流通の最盛期は10月頃で、フラワーアレンジメントやリース、ドライ素材としても人気があります。素朴ながらも存在感のある緑や赤い実は、秋の装飾にぴったりで、どこか懐かしい雰囲気を漂わせます。
枝には鋭い棘があるため、扱う際には注意が必要ですが、その野性味こそがノバラの魅力。日本各地の山野や川辺に広く分布し、自然のままの姿で季節を感じさせてくれます。

ノバラの花言葉
ノバラの花言葉は、「上品な美しさ」「純朴な愛」「素朴な愛らしさ」「才能」「詩」など、静かで感受性豊かな言葉が並びます。
「上品な美しさ」「純朴な愛」
野に咲く一重の白い花は、飾らない美しさを持ち、まるで自然の中にそっと佇むような存在。控えめながらも凛とした姿が、上品さや純粋な愛の象徴とされています。
「才能」「詩」
ノバラは、ゲーテの詩やシューベルトの歌曲など、芸術の題材としても多く登場します。その繊細な姿が、創造力や詩的感性を刺激することから、これらの花言葉が生まれました。
「素朴な愛らしさ」
華やかさよりも、素朴で親しみやすい雰囲気を持つノバラ。その自然体の美しさが、人々の心にやさしく寄り添うような印象を与えることから、「素朴」という花言葉がつけられたのだとか。
ノバラは、春に咲く花だけでなく、秋に赤く熟す実も魅力のひとつ。その実はリースやドライ素材としても人気で、季節の移ろいを感じさせる存在です。
ノバラの飾り方

ノバラは緑~赤に変化する実をつけ、細くしなやかな枝を伸ばしていきます。
個体によって枝ぶりや花の付き方に違いはありますが、大抵の場合は、横に広がるような自然なラインが特徴です。そのため、ナチュラルな雰囲気の花器や、少し高さのある器でもよく馴染み、野の風景を切り取ったようなアレンジが楽しめます◎
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ノバラを飾ったインテリア例
ノバラは、秋に赤く色づいた実をつける、素朴で味わい深い枝ものです。その自然な枝ぶりと実の鮮やかさを引き立てるには、木製や素焼きの花器など、温かみのある素材がぴったりでしょう。
また、アンティーク調のブリキベースや、くすみカラーの陶器を使うと、ノバラの実の赤がより際立ち、秋らしい落ち着いた雰囲気を演出できます。
透明なガラスベースに挿しても、枝のラインや実の陰影が美しく映え、静かな季節の移ろいを感じさせてくれます。
お部屋に秋の気配をそっと添えながら、ノバラの実が語りかけるような自然の美しさを楽しんでくださいね◎
花器に生ける時の注意点
ノバラの飾り付けで注意する点は、切り口を清潔に保ち、水分を吸いやすくすることです。
また、飾る前に余分な葉を取り除くことで、乾燥中のカビや劣化を防げるます。葉が残っていると見た目も重たくなりがちで、それらが水に浸かると花器の中で雑菌が増える原因にもつながります。
枝の表面を傷つけてしまう恐れがあるため、手で引きちぎらず、清潔なハサミやナイフで丁寧に処理しましょう。
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ノバラのお手入れ方法
ノバラは比較的丈夫で育てやすい植物ですが、もちろん日々のお手入れは欠かせません。今回は、枝ものを健やかに保つためのお手入れ方法をお伝えします!
基本のお手入れ
1. お受け取り当日の切り戻し

受け取ったその日のうちに、「切り戻し」を行ってから、花器に生けるのがおすすめです。
根元に十字の切り込みを入れたり、木皮を剥いで水を吸いやすくする工夫も重要です。
また、枝ものは輸送中に少し疲れてしまう場合があるため、延命剤を加えた水に生けると、元気を保つことができます。
■枝ものを長く愛でるための、鮮度保持剤

鮮度保持剤を使うことで、花枝に必要な栄養を与えながら、花器の水を清潔に保つことができます。
この保持剤には、切り口の樹液を効率的に溶かし、水分を吸収しやすくする働きがあり、枝ものの美しさを長く楽しむことができます。
さらに、植物が疲れている際にもしっかり回復する効果があるため、飾り付けの際にぜひ取り入れてみてくださいね。
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■水上がりを良くするフローリストナイフ

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2. 枝ものにとって心地よい場所に飾る
枝ものを飾る際は、直射日光や空調の風を避け、風通しの良い涼しい場所を選びましょう。湿気が多い環境は枝が痛みやすいので避けることが大切です。
また、日当たりを気にする必要はないため、寝室や洗面スペースなど静かな空間で楽しむのも素敵◎飾る場所によって、違った枝ものの魅力が楽しめるでしょう。
3. こまめな水替え

水が濁る前にこまめに交換することで、植物を元気に保つことができますよ。その際に切り戻しを行うと、植物の根元が水を吸収しやすくなり、より長持ちします。
また、ぬめりがある箇所があれば、丁寧に優しく手で擦り落とすことで、清潔さを保つことができるでしょう。
枝ものの元気がない時は…
短く切り、小分けにして楽しむ

時間が経つにつれ、水が吸い上げにくくなることがあります。そんな場合には、思い切って枝を短く切り分けるのも良いでしょう◎
枝を短くすることで吸水が改善されるだけでなく、大ぶりな姿とは少し違った、小ぶりな可愛らしい姿も楽しめそう。
ノバラの豆知識

染料や薬として利用されていたノバラ
ノバラ(ノイバラ)は、古くから染料植物としても薬用植物としても活用されてきました。茎や葉、落ちた花などを使って染色され、鉄媒染では黒みを帯びた黄色、ミョウバン媒染では明るい黄色など、自然な色合いが楽しめるそうです。
また、秋に熟す赤い実(偽果)は「営実(えいじつ)」と呼ばれる生薬として知られ、利尿、解毒、便秘、リウマチ、月経不順などに用いられてきました。
中国最古の薬物書『神農本草経』にも記載があるほど、古くから人々の暮らしに寄り添ってきた植物です。
枝ものとして流通するノバラ
ノバラは日本各地の山野に広く自生しており、ノイバラと呼ばれることもあります。5~6月頃に白い花を咲かせ、樹高は1~2m程度。秋には直径1cmぐらいの丸く可愛らしい実がなります。
枝ものとしては、9月から11月頃にかけて実姿で流通します。
この実は、花のガクの下にある筒の部分が膨らんだ偽果(ぎか)と呼ばれるもので、色はグリーンから少しずつオレンジ色に変化し、やがて真っ赤になります。
ドライにすると表面にシワが入り、少し色がくすんでアンティークのような風合いが生まれます。スワッグやリースなどにもよく使われます。
近年、栽培の工夫によって棘(とげ)がないものが流通するようになりましたが、まれに棘もあるので、注意しましょう。
古今東西の文化に影響するノバラ
ノバラは、その素朴で自然な姿から「素朴な愛らしさ」や「純朴な美しさ」といった花言葉で親しまれてきました。野に咲く白い一重の花は、控えめながらも凛とした存在感を放ち、見る人の心に静かに寄り添います。
日本では古くから人々の暮らしのそばにあり、『風土記』や『万葉集』といった古典文学にもその名が登場します。特に『万葉集』では、野に咲く花としてのノバラが、素朴な美しさや自然との調和を象徴する存在として詠まれています。
一方、ヨーロッパでもノバラは詩や音楽の題材として愛されてきました。中でも有名なのが、ドイツの詩人ゲーテが書いた詩「Heidenröslein(野ばら)」に、作曲家シューベルトがテノールのための歌曲をつけた作品。この「野ばら」は、純粋な愛と儚さを描いた名曲として、今も世界中で歌い継がれています。
ノバラの花が持つ静かな力が、言葉や音楽を通して人々の感情に深く響いているのです。
ノバラのまとめ

ノバラは、バラ科バラ属の落葉広葉樹で、日本の野山に自生する素朴な美しさを持つ植物です。春から初夏にかけて咲く白い一重の花は、控えめながらも凛とした存在感があります。
花言葉には「素朴な愛らしさ」「上品な美しさ」「才能」「詩」などがあり、その自然体の姿や文化的背景から生まれた言葉が並びます。日本では『万葉集』や『風土記』にも登場し、ヨーロッパではゲーテの詩「野ばら」がシューベルトによって名曲となるなど、文学や音楽の中でも愛されてきました。
秋には赤く熟した実をつけ、枝先にぽつぽつと灯るようなその姿は、季節の移ろいを静かに語りかけてくれます。ドライ素材としても人気があり、リースやアレンジメントに使えば、素朴ながらもノスタルジックな雰囲気を演出できます。
ノバラは、派手さはないけれど、静かに心に残るような存在。ぜひお好みの花器に挿して、秋の雰囲気を取り入れてみてくださいね♪
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