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記事: 【枝もの産地訪問】いま最も勢いのある産地 「茨城県奥久慈地区」を再訪問


【枝もの産地訪問】
いま最も勢いのある産地 「茨城県奥久慈地区」を再訪問


増え続ける需要に対して、生産者の高齢化などの理由から未来の供給が不安視される枝もの。この課題を受けて、SiKiTOでも2024年から枝ものの自社栽培に取り組んでいます。

そんな枝もの業界のなかで「いま全国で最も勢いのある産地」といわれる茨城県奥久慈地区を久しぶりに訪問しました。

今回訪問したのは「JA常陸 奥久慈枝物部会」。奥久慈とは、茨城県の常陸大宮(ひたちおおみや)市・常陸太田(ひたちおおた)市・大子(だいご)町を合わせたエリアを指します。

奥久慈への訪問は2023年8月以来です。前回は真夏でしたが今回は初冬の11月下旬。

伺った日は部会長の菊池さん自ら、まんまるのオタフクナンテンの株から40cm程度の枝を手際よくカットしていました。ここから全国に流通し、お正月向けアレンジメントなどに使われるのだそうです。

部会長の菊池さん

枝もの産出額全国1位の茨城県を力強く支える奥久慈地区ですが、産地としてのスタートは2005年。当時、農家の高齢化や過疎化によって増え続けていた「耕作放棄地(担い手がいなくなった元農地)」を枝もの畑として再生しようと地元の方たちが立ち上がったことが始まりでした。

中心人物のひとりである石川幸太郎さんは、「はじめは『畑に木を植えるなんてとんでもない。こんなもの売れるはずがない』と笑われたものです」と振り返ります。

石川幸太郎さん

石川さんが8人の仲間とスタートした部会は2024年末には会員148名に。出荷額も2018年度には1億円、2023年度には2億円台を突破する大成長を遂げています。

枝ものは他の農産物に比べて特別な技術を必要とせず、露路栽培が基本なのでハウスの維持費や燃料代も抑えられますが、植え付けから最初の収穫まで3年以上かかることがネックでした。

そこで新たな枝もの生産者として「定年帰農者」をターゲットに定め、希望者には退職3~5年前からの植え付けを推奨。在職中は週末移住のようなかたちで枝ものを栽培することで退職後すぐに出荷、年金+αの収入を得る暮らしを叶えることができます。

枝もの産地として約10年が経った2014年には、主力品目である花桃の開花をコントロールするための「促成施設」が完成。

毎年11月下旬から3月頃には設備を埋め尽くすほどの花桃がここで蕾を膨らませてから出荷されていきます。

もうひとつ、奥久慈ならではの特徴は「多品目産地」であること。

ドウダンツツジ、ナツハゼ、ヒメリョウブ、ロシアンオリーブ、スモークツリーなど、なんと年間250種以上もの枝ものが出荷されています。

他の産地では品種を絞って栽培することも多いなか、奥久慈では栽培品種の制限はほとんどなし。会員一人ひとりが好きな品種を栽培し、出荷先の市場も自分で決めることができます。

生産者それぞれが売れ筋情報をキャッチして栽培にチャレンジしてみる。なかには環境に合わず枯れてしまうものもありますが、うまくいけば大チャンス!この自由さも、産地の活性化に大きく寄与しているのだそうです。

最近では定年後世代だけでなく、若い世代の新規就農者も増えているといいます。
若手グループの代表を務める柳田雄介さんは、40歳のときに枝もの農家に転身。約8年経った現在では年間30~40品目を出荷しています。

柳田雄介さん

訪ねた日には産地として出荷時のサイズや色づきなどを統一するための勉強会「目揃(めぞろい)会」が開かれており、みなさん真剣な眼差しで参加されていました。

これまでSiKiTOの枝もの定期便でも、奥久慈産のドウダンツツジ、ノバラ、ロシアンオリーブ、山吹、サンゴミズキなどをお届けしてきました。

生産者のみなさんが自然と向き合い大切に育てた枝ものが、お客様の暮らしを華やかに彩ってくれますように。

 

枝もの定期便

自宅で待つだけ、飾るだけ。枝もの定期便

 

    

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