【二十四節気】
白露(はくろ)

白露(はくろ)
9月8日〜9月23日頃
ようやく秋の澄んだ空気が漂いはじめる「白露(はくろ)」。
名前のとおり、草木の葉先や花びらに夜露がきらりと光る季節です。
日中はまだ残暑を感じる日もありますが、朝夕はずいぶんと涼しくなり虫の声が夜空を包みます。空は高く澄み、月の輝きも一段と冴えわたり大地全体が秋を迎えるムードに。
白露は季節の変化を目に見える形で伝えてくれる節気。ひと粒の露に秋の訪れを感じ取るのは、日本らしい繊細な自然観かもしれません。
七十二候
9月8日〜12日頃「草露白(くさのつゆしろし)」

草の葉に降りた露が白く輝く頃。
朝日を受けてきらめく露は、一瞬のうちに消えてしまう儚さを秘めています。
まるで秋の訪れそのものを写すような光景。日ごとに秋が深まっていく合図でもあります。
9月13日〜17日頃「鶺鴒鳴(せきれいなく)」

川辺や田んぼのあぜ道で、鶺鴒(せきれい)が鳴き交わす頃。
尾を上下に振る愛らしい姿は古くから親しまれ、日本神話にも登場する鳥です。
軽やかな声が澄んだ秋空に響くと、どこか清々しい心持ちになります。
9月18日〜22日頃「玄鳥去(つばめさる)」

春に渡ってきた燕が、南の国へと旅立つ頃。
軒先や電線に並んで羽を休める姿もそろそろ見納め。燕の渡りは、季節が確かに進んでいることを教えてくれます。別れの寂しさとともに、次の春への約束を残して去っていくようです。
旬の味わい、行事など
白露の頃は、秋の実りが本格的に食卓を彩ります。
野菜では、里芋・かぼちゃ・れんこん・きのこ類が旬を迎えます。滋味深い食材は、煮物や汁物にして秋の夜長をあたためてくれます。

果物では、ぶどう・梨・いちじくが食べごろ。瑞々しい甘さが、夏に疲れた体を癒してくれます。栗や柿も少しずつ姿を見せはじめ、秋の楽しみが広がっていきます。

魚介では、秋刀魚がますます脂をのせ、鮭や秋イカも旬に。焼き魚の香ばしさが食欲を刺激し、食卓に秋の彩りを添えます。
行事としては「十五夜(中秋の名月)」がこの時期に訪れることがあります。澄んだ空に冴え渡る満月を眺め、すすきを飾り、団子や季節の果物を供えて月を愛でる。月明かりに照らされながら季節を感じる、古くからの風雅な習慣です。

また、この頃には稲刈りが始まる地域もあり、黄金色の田んぼが日本の原風景を思わせる季節でもあります。
「白露」まとめ
白露は、自然のなかに「秋のしるし」が繊細に散りばめられる時期。
露の光、虫の声、燕の旅立ち――いずれも一瞬の出来事ですが、そのひとつひとつが季節の確かな歩みを語っています。
夏から秋への移ろいは、派手さはありません。けれども、早朝のひんやりとした空気や、夜空の冴えた輝きに心を澄ませてみると、季節の変化は驚くほど豊かで深いものです。
大地は実りを育み、空は澄み、風は静けさを運ぶ。白露は、そんな秋の入り口に立ち、自然の呼吸を感じとるための節気なのです。
ひと粒の露を見つけたら、足を止めて眺めてみませんか。
儚く消えるその光のなかに、秋の美しさのすべてが凝縮されているのかもしれません。
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