【二十四節気】
立秋(りっしゅう)

立秋(りっしゅう)とは、二十四節気の13番目にあたり、暦の上で秋が始まる頃を表します。例年8月7日頃に始まり、次の節気である処暑の前日頃まで続きます。昼間はまだ厳しい暑さが続きますが、朝晩の風や虫の声、空の表情などに、少しずつ秋の気配を感じ始める季節です。
立秋とは
8月7日頃〜8月22日頃
暦の上で秋の始まりを告げる「立秋(りっしゅう)」。二十四節気では、大暑の次にあたる13番目の節気です。
「秋が立つ」と書きますが、実際には一年でも特に暑さの厳しい時期。強い日差しが降り注ぎ、蝉の声もまだにぎやかに響きます。
それでも、朝早くや日が暮れたあとの風には、ふと涼しさを感じることも。草むらから聞こえる虫の声や、少しずつ変わっていく空の表情にも、季節の移ろいが表れ始めます。
夏空に大きく広がっていた入道雲に加え、高い空には薄く広がる雲が見られるようになるなど、空にも少しずつ秋らしい変化が現れます。
自然の勢いが最高潮に達する大暑を過ぎ、季節はゆっくりと次の秋へ。まだ目には見えにくい、小さな変化を感じ取るのが立秋の頃です。
立秋の七十二候
8月7日〜11日頃「涼風至(すずかぜいたる)」

涼しい風が吹き始める頃。
昼間はまだ厳しい暑さが続きますが、朝や夕方に吹く風のなかに、ふとこれまでとは違う涼しさを感じるようになります。
ほんの少し変わった風の温度や匂いから、秋が近づいていることに気づく。季節の変化を肌で感じられる七十二候です。
夏から秋へと移り変わる立秋は、目に見える景色だけでなく、風の涼しさや空気の変化からも、少しずつ秋の気配を感じられる季節です。
8月12日〜16日頃「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」

ヒグラシの鳴き声が聞こえ始める頃。
夕暮れ時になると、「カナカナカナ……」という澄んだ声が森や木立から響いてきます。
真夏の蝉のにぎやかな声とは少し異なり、どこか静かで切なさを感じさせるヒグラシの声は、夏の終わりを感じさせる風物詩の一つです。
ちょうどお盆の時期とも重なり、夕暮れの空や虫の声にも、いつもよりゆったりとした時間の流れを感じられます。
8月17日〜22日頃「蒙霧升降(もうむしょうこう)」

深い霧が立ち込める頃。
朝晩の気温が少しずつ下がり始めると、田畑や野原などに白い霧が立ちのぼることがあります。
まだ昼間は暑くても、朝の空気や景色には少しずつ秋らしさが加わっていきます。
白い霧に包まれた早朝の景色は、夏の力強さとはまた違う静かな表情。目には見えにくかった秋の気配が、少しずつ景色にも現れ始める頃です。
立秋の旬の食べ物・行事
立秋の頃には、夏の食材を楽しみながら、少しずつ秋を感じさせる味覚も出回り始めます。
野菜では、とうもろこしやオクラ、枝豆、ナスなど、夏の日差しをたっぷりと浴びた食材が引き続き旬を迎えています。
果物では、桃やスイカ、いちじく、ぶどうなどが店頭に並び、夏から秋へと移り変わる季節らしい、色鮮やかな味覚を楽しめます。

また、この頃には秋刀魚(さんま)が店頭に並び始めることもあります。
秋の味覚として知られる秋刀魚ですが、立秋を迎える頃から少しずつ季節が次へと進み始め、食卓にも秋の気配が加わっていきます。
そして、立秋の時期を代表する行事の一つが「お盆」です。

お盆は、祖先の霊を迎え、供養するための大切な行事です。
地域や家庭によって過ごし方は異なりますが、迎え火や送り火を焚いたり、きゅうりやナスを使った「精霊馬(しょうりょううま)」を飾ったりする風習があります。

家族や大切な人を思いながら過ごすお盆。夏のにぎやかさのなかにも、静かに人や季節と向き合う時間が流れます。
夏の旬を味わいながらお盆を迎え、少しずつ秋へ向かう景色を感じる。立秋は、暮らしのなかにも季節の境目が表れる頃です。
立秋に関する豆知識
立秋を過ぎると「残暑」と呼ぶのはなぜ?
立秋を迎えても、実際にはまだ真夏のような暑さが続きます。それなのに、なぜこの日から「秋」と呼ぶのでしょうか。
二十四節気では、秋が立つ、と表す立秋を境に暦の上では秋が始まります。そのため、立秋を過ぎてから残る暑さを「残暑(ざんしょ)」と呼びます。
夏の挨拶も、立秋の前までは「暑中見舞い」、立秋を過ぎると「残暑見舞い」へと変わります。
現在の感覚では8月は夏真っ盛りですが、昔の暦では、暑さのなかにも少しずつ次の季節の兆しを見つけながら季節を区切ってきました。
日中の気温だけでなく、朝晩の風や雲、虫の声などに目を向けてみると、「秋が立つ」という言葉の意味を少し感じられるかもしれません。
お盆の「精霊馬」にはどんな意味がある?
お盆になると、きゅうりやナスに割り箸などを刺し、動物のような形にした「精霊馬(しょうりょううま)」を飾ることがあります。
きゅうりは馬、ナスは牛に見立てられるのが一般的です。
馬には、祖先の霊にできるだけ早く家へ帰ってきてもらいたいという願いを、牛には、帰るときにはゆっくりと戻ってもらいたいという思いが込められてきたといわれています。
地域によって形や飾り方には違いがありますが、身近な夏野菜を使って大切な人を迎え、送り出すという素朴な風習が受け継がれてきました。
立秋の頃に旬を迎える野菜が、食卓だけでなく季節の行事にも使われてきたことからも、自然と暮らしが深く結びついていたことが感じられます。
立秋におすすめの枝もの
暦の上では秋を迎えても、まだ夏の暑さが色濃く残る立秋の頃には、暑い季節にも力強い緑を楽しめる枝ものがおすすめです。
なかでも、この季節に飾りたいのがアセビです。
アセビは、細かな葉を枝いっぱいに茂らせる、ボリューム感のある枝ものです。比較的長い期間流通し、季節をまたいで楽しめる枝ものとして親しまれています。
丈夫で長持ちしやすいのも魅力のひとつ。まだ厳しい暑さが続く立秋の頃にも、青々とした葉と力強い枝ぶりが、室内にみずみずしい景色をつくってくれます。

大きく広がる自然な枝ぶりを生かしてゆったりと飾れば、まるで木陰を室内に切り取ったような印象に。夏の名残を感じる濃い緑を楽しみながら、これから少しずつ秋へと移り変わっていく季節にも寄り添ってくれる枝ものです。
もう一つおすすめしたいのが、ビバーナム・ティナスです。
ビバーナム・ティナスは、小さな実が枝先にまとまってつく姿が印象的な枝ものです。
季節の移ろいとともに実の色合いも変化していき、夏から秋へと向かう頃には、葉の緑と実ものならではの表情を一緒に楽しむことができます。
丸い実が集まる姿にはほどよい存在感があり、グリーンを中心とした夏の枝ものとはまた違った、少し先の季節を感じさせてくれます。

アセビの青々とした力強い緑と、ビバーナム・ティナスの実ものならではの表情。どちらも夏の名残を感じさせながら、少しずつ秋へと向かい始める立秋の季節によく似合います。
まだ暑い日が続く部屋にも、丈夫でみずみずしい枝ものや、季節の移ろいを感じる実ものを取り入れて、ひと足早く秋の気配を楽しんでみてはいかがでしょうか。
【枝もの図鑑】アセビ(馬酔木)
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立秋のまとめ
立秋は、厳しい暑さのなかにも、少しずつ秋の気配が感じられるようになる頃です。
涼しい風が吹き始め、ヒグラシが鳴き、朝の野原には霧が立つ。七十二候にも、夏から秋へと静かに移り変わっていく自然の姿が描かれています。
とうもろこしやナスなどの夏野菜、桃やぶどうなどの旬の果物を味わい、お盆には祖先を迎えて家族と過ごす。暮らしのなかにも、この季節ならではの時間が流れます。
部屋にはアセビやビバーナム・ティナスなどの枝ものを飾り、涼やかな葉色や実ものの表情から、少し先の秋を感じてみるのもおすすめです。
夕暮れに吹く風、ヒグラシの声、高い空に広がる淡い雲。
まだ夏の暑さが残る景色のなかに隠れた小さな秋を探しながら、季節がゆっくりと移り変わっていく立秋を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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