【二十四節気】
穀雨(こくう)

穀雨(こくう)
4月19日〜5月4日頃
春最後の節気「穀雨(こくう)」は、大地が深呼吸をするかのようにしっとりと始まります。
昼間の空はどこかやわらかく、灰青色の雲がゆっくりと流れていきます。雨はまだひんやりしているものの冬のような厳しさはなく、春らしいぬくもりを持っています。
春蒔き野菜の種が植えられる頃に雨が降り、田畑に栄養が染み渡っていきます。農耕の節目として、古くからこの時期の雨は百穀を潤すとされ、発芽と成長への希望を土の中にたくわえていくのです。
木々の枝先に芽生えた若葉も雨を浴びるほどに色を濃くしていく時期です。
七十二候
4月20日〜24日頃「葭始生(あしはじめてしょうず)」

水辺の葦が静かに芽吹きはじめます。
水中から顔をのぞかせた芽はまっすぐに伸びていき、風が吹けくたびに水面とともに葦もまた揺れ動きます。大きな自然の中で、小さな無数の命たちが動き始める頃です。
4月25日〜29日頃「霜止出苗(しもやんでなえいづる)」

冷え込みの心配がなくなり、苗代では稲の苗がすくすくと育つ頃。
田んぼには水が引かれ代掻きが行われます。かつてすべて手作業で行っていた行為は重機が代行するようになりましたが、苗植えを待つ田園の美しさは変わりません。
4月30日〜5月4日頃「牡丹華(ぼたんはなさく)」
「百花の王」と称される牡丹が、春の最後を飾るかのように気高い姿を現します。
艶やかな花が咲き誇る様は、春の華やかさと儚さを併せ持つ不思議な存在です。心地よい風にさわさわと揺れ、見る人の心に深く染み入ります。
旬の味わい、行事など
春の名残と初夏の気配が同居するこの時期に店先に並ぶのは、山菜、筍、絹さやえんどう、空豆、アスパラガスなど鮮やかな緑の食材たち。
たっぷりの雨を受けて育った野菜は、塩茹でするだけでも滋味深い味わいを楽しめます。
魚屋には、桜鯛や初ガツオが並ぶ時期。脂が乗りきる前のさっぱりとした味わいは、毎年の風物詩として多くの人が待ち侘びています。
立春から88日目となる5月2日頃は古くから「八十八夜(はちじゅうはちや)」とされ、本格的な農作業を始める目安の日。
新茶の収穫が始まる目安ともされ、「八十八夜に摘んだお茶は長寿の薬」とも言われてきました。

「穀雨」まとめ
穀雨の季節は、自然のサイクルのなかで生きる人々の営みを感じられる貴重なとき。
雨上がりの地面から湿った土と若葉の香りが立ち上るなかで、ふと深く呼吸してみませんか?
うららかな春はあと少し、季節はあっという間に夏へと移り変わっていきます。
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