【二十四節気】
立夏(りっか)

立夏(りっか)とは、二十四節気の一つで、暦の上で夏が始まる頃です。例年5月5日頃に始まり、次の節気である小満の前日頃まで続きます。日差しは日に日に力強さを増し、草木の緑もぐんと鮮やかに。心地よい風と若葉の香りに、初夏の訪れを感じられる季節です。
立夏とは
5月5日頃〜5月20日頃
暦の上で夏の始まりを告げる「立夏(りっか)」。二十四節気では、穀雨の次にあたる7番目の節気です。
春に芽吹いた草木は、この頃になると一気に勢いを増し、木々を覆う若葉も日に日に色濃くなっていきます。
日差しも少しずつ力強さを増し、昼間には汗ばむほどの陽気になる日も。とはいえ、真夏のような蒸し暑さはまだ少なく、爽やかな風が吹く過ごしやすい季節です。
外を歩けば、木々の間を吹き抜ける風には若葉や草の香りが混じり、頭上には明るい青空が広がります。自然と外へ出かけたくなるような、爽やかな陽気が続きます。
田んぼには水が張られ、蛙の鳴き声が聞こえ始めるなど、生きものたちの活動もますます活発に。
やわらかな春から、生命力あふれる夏へ。立夏は、自然全体が大きく深呼吸をして、次の季節へ動き出すような頃です。
立夏の七十二候
5月5日〜9日頃「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」

蛙たちが、田んぼや水辺で鳴き始める頃。
冬眠を終えた蛙たちは、暖かくなるにつれて活発に動き始めます。田植えを控えた水田から聞こえる「ケロケロ」という賑やかな声は、初夏を感じさせる風物詩の一つです。
昼間だけでなく、夜になると静かな田園に蛙たちの声が響き渡り、まるで大きな合唱のように聞こえることもあります。
水が張られた田んぼと蛙の声。植物だけでなく、生きものたちからも夏の始まりを感じられる七十二候です。
5月10日〜14日頃「蚯蚓出(みみずいづる)」

暖かさに誘われて、ミミズが地表へ姿を現し始める頃。
冬のあいだ地中深くで過ごしていたミミズも、土が十分に暖かくなると活動を始めます。
ミミズは土の中を動きながら土をやわらかくし、落ち葉などの有機物を分解することで、豊かな土づくりにも役立っています。
普段はあまり目立たない小さな生きものですが、地面の下では植物が育つ環境をそっと支えてくれている存在です。
5月15日〜20日頃「竹笋生(たけのこしょうず)」

竹林で、たけのこが地面から顔を出し始める頃。
たけのこは成長がとても早いことで知られ、暖かくなるとぐんぐんと背丈を伸ばしていきます。
「竹笋生」で表されるたけのこは、一般的によく食べられる孟宗竹(もうそうちく)よりも少し遅れて出てくる真竹(まだけ)などを指すともいわれています。
蛙が鳴き、ミミズが動き、竹林からはたけのこが伸びる。立夏の七十二候には、初夏を迎えた自然の力強い動きが描かれています。
立夏の旬の食べ物・行事
立夏の頃には、春から初夏へと移り変わる季節ならではの、みずみずしい食材がたくさん出回ります。
野菜では、そら豆やスナップえんどう、絹さや、アスパラガスなど、鮮やかな緑色の食材が旬を迎えます。
やわらかな食感と、ほのかな甘みや苦みを持つ初夏の野菜は、さっと塩茹でするだけでも十分。素材そのもののみずみずしい味わいを楽しめます。

魚では、初ガツオが美味しい季節です。
春から初夏にかけて太平洋を北上するカツオは「初ガツオ」と呼ばれます。秋の戻りガツオに比べると脂が控えめで、さっぱりとした味わいが特徴です。
江戸時代には初物が重宝され、なかでも初ガツオは人気の食材だったといわれています。旬のものをいち早く味わうことは、今も昔も季節の楽しみの一つです。
そして、立夏と同じ5月5日に迎えるのが「端午の節句」です。

端午の節句には、こいのぼりや五月人形を飾り、子どもの健やかな成長を願います。柏餅やちまきを食べたり、菖蒲湯に入ったりする習慣もあります。
初夏の食材を味わい、季節の行事を楽しむ立夏。食卓や暮らしのなかにも、少しずつ初夏の気配が広がっていく時期です。
立夏に関する豆知識
「立夏」にはどんな意味がある?
「立夏」は、文字どおり「夏が立つ」と書き、暦の上で夏が始まる日を表します。
「立つ」には、「季節が始まる」という意味があります。そのため二十四節気には、立春・立夏・立秋・立冬という、四季の始まりを表す4つの「立」があります。
立夏を迎えたからといって、すぐに真夏のような暑さになるわけではありません。
この頃はまだ春らしい爽やかさを残しながら、日差しが強くなり、木々の緑が日に日に濃くなっていく時期です。
春の花が主役だった景色から、若葉や新緑が主役の景色へ。立夏という言葉には、自然が次の季節へと移り変わっていく様子が表れています。
端午の節句に菖蒲湯に入るのはなぜ?
5月5日の端午の節句には、菖蒲(しょうぶ)の葉を浮かべた「菖蒲湯」に入る習慣があります。
菖蒲は香りが強い植物で、古くから邪気を払うものと考えられてきました。季節の変わり目に菖蒲湯に入り、無病息災を願う風習が生まれたとされています。
また、「菖蒲(しょうぶ)」という言葉が、武道や武勇を重んじる「尚武(しょうぶ)」と同じ音であることから、武家社会では男の子の成長を願う行事とも深く結びついていきました。
現在では子どもの健やかな成長を願う「こどもの日」として親しまれている5月5日。菖蒲湯にも、長く受け継がれてきた季節の願いが込められています。
立夏におすすめの枝もの
若葉が勢いよく広がり、新緑が一年のなかでも特に美しく感じられる立夏の頃には、みずみずしい緑を楽しめる枝ものがおすすめです。
なかでもこの季節に飾りたいのが、ドウダンツツジです。
ドウダンツツジは、すっと伸びる枝と、枝先に広がる小さな緑の葉が美しい、夏に大人気の枝ものです。
明るい緑色の葉と伸びやかな枝ぶりは、初夏の爽やかな空気と相性がよく、大きめの花器に数本生けるだけでも存在感のある景色をつくることができます。

もう一つおすすめしたいのが、ヒメミズキです。
ヒメミズキは、細やかに分かれた枝にやわらかな緑の葉をつける、軽やかな雰囲気の枝ものです。
若々しい葉が枝いっぱいに広がる姿には、春から初夏へと移り変わる頃ならではのみずみずしさがあります。枝の自然な流れを生かしてゆったりと生けるだけで、室内にも爽やかな新緑の景色が広がります。

ドウダンツツジの伸びやかな枝ぶりと、ヒメミズキの繊細で軽やかな緑。どちらも、新緑が日に日に鮮やかになっていく立夏の季節によく似合う枝ものです。
窓から入る初夏の風に葉がそっと揺れる姿を眺めるのも、枝ものならではの楽しみ。部屋にもみずみずしい新緑を迎えて、夏の始まりを感じてみてはいかがでしょうか。
【枝もの図鑑】ドウダンツツジ
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【枝もの図鑑】ヒメミズキ
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立夏のまとめ
立夏は、二十四節気の一つで、暦の上で夏が始まる頃です。
田んぼでは蛙が鳴き始め、土の中からミミズが姿を現し、竹林ではたけのこが勢いよく伸び始めます。七十二候にも、夏を迎えた自然がいきいきと動き出す様子が描かれています。
そら豆やスナップえんどう、アスパラガス、初ガツオなどが旬を迎え、5月5日の端午の節句には、こいのぼりや五月人形を飾ったり、菖蒲湯に入ったりする習慣があります。
部屋にはヒメミズキやドウダンツツジなどの枝ものを飾り、初夏ならではのみずみずしい新緑を楽しむのもおすすめです。
木々の間を渡る風、鳥のさえずり、田んぼから聞こえる蛙の声、きらきらと降り注ぐ初夏の日差し。
日々のなかでふと足を止めて、若葉の香りや太陽のあたたかさを感じながら、本格的な夏へと向かっていく立夏の季節を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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