【二十四節気】
小満(しょうまん)

小満(しょうまん)
5月21日〜6月4日頃
初夏のやさしい風が吹きはじめる「小満(しょうまん)」は、万物がすこしずつ満ちていく節気です。
木々の緑が濃くなり、空には入道雲の気配が漂いはじめます。農作地では春に撒いた麦の穂が実り、田んぼの水面はきらきら輝き、やがて訪れる収穫のときを予感させます。
「小満」という言葉には、作物の成長にひと安心できること、人々の心がほっと満たされること、といった静かな喜びが込められています。日々の暮らしのなかにも、目には見えない「満ちていく」気配を感じ取れる季節です。
七十二候
5月21日〜25日頃「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」

養蚕業において、この時期は蚕が桑の葉を食べ始める大切な時期とされています。
小さな蚕が桑の若葉を一心に食む音は「蚕時雨(かいこしぐれ)」とも呼ばれ、静かな蚕室のなかに、まるで雨音のように響いたといいます。
5月26日〜30日頃「紅花栄(べにばなさかう)」

染料や薬草として重宝されてきた紅花が咲く頃。
花の色が黄色から紅へと変化していく姿は、まさに季節のうつろいを感じさせます。野に咲く紅花の彩りはまるで陽射しのかけらを集めたよう。素朴かつ華やかさな初夏を象徴する花のひとつです。
5月31日〜6月4日頃「麦秋至(ばくしゅういたる)」

「秋」という字が使われていますが、麦にとっての実りの時期という意味。
麦畑一面が初夏の風に揺れる黄金の波のような風景は、この時期ならではの美しい光景。麦は実りを迎える一方で、田んぼには水が張られ、代掻きや田植えの準備が進みます。収穫と種まき、両方の喜びを感じられる貴重な時期です。
旬の味わい、行事など
店先にはそら豆、グリーンピース、スナップえんどう、いんげんなどの豆類がずらりと並びます。大地の恵みが凝縮したような豆の香りと甘さは初夏定番の味。さっと塩茹でして、素材の味を活かした調理がおすすめです。

魚屋には、若鮎や初夏のイワシ、さっぱりとしたカツオが並びます。とりわけ若鮎は清らかな川を泳いできた初物。塩焼きにして香ばしい皮とほろりとやわらかい身は、初夏ならではの清々しい美味しさを楽しめます。

各地で田植え祭りや水の神を祀る行事も多く行われます。水に感謝し五穀豊穣を祈る祭りは、自然とともに生きる伝統的な暮らしを今に伝えるもの。
田植え歌にあわせて早乙女が田んぼに立つ姿は、今も大切な季節行事として人々の生活に彩りを添えています。

「立夏」まとめ
小満は、あらゆる生命の成長を目の当たりにして小さな満足感を得られる季節。空にはまぶしい初夏の陽射し、地上には緑の香りと涼やかな風が広がります。
田畑にも喜びと期待が入り混じり、私たちの暮らしを静かに支えてくれていることに気づきます。
小さくも満ち足りた気配を感じ取りながら、大きく深呼吸してみませんか?
PRODUCTS