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記事: 森のある暮らしに憧れて北海道へ。アロマブランド開発ストーリー《フプの森》

森のある暮らしに憧れて北海道へ。アロマブランド開発ストーリー《フプの森》

北海道下川町の森林資源を活用したアロマアイテムを製造・販売する株式会社フプの森代表・田邊 真理恵(たなべ まりえ)さん。

オンラインインタビューを行った10月上旬、すでにストーブをつけフリースを着て「朝晩はもうかなり冷え込むんです」と仰います。

都会にいても身近に北海道の森を感じられるように、とスタートされたアロマブランド「FUPUNOMORI(フプノモリ)」「NALUQ(ナルーク)」について開発ストーリーを伺いました!

−田邊さんが移住し、事業を行っている北海道・下川町について教えてください

元々生まれが北海道で、千歳市で育ちました。北海道は全域が自然豊かですが、下川町は特に林業に力を入れていて、より自然豊かなところです。

実際に移住してみると気温や気候も大きく違い、同じ道内でもカルチャーショックを受けるほど…!

林業に力を入れている市町村は他にもあるのですが、下川町は積極的に新しいことにもチャレンジしてきたのが大きな特徴です。

例えば、適切に管理されている森やそこから生産されたものにマークを付ける事ができる国際的な認証制度を北海道で初めて取得したのも下川町でした。

さらに、所有する森を積極的に広げることで雇用を生み出し、継続的な林業を目指す独自の取り組みを始めたも、他の市町村よりも早かったんです。

 

下川町との出会いは?

かねてより森に興味があったのですが、森や林業に関わりたくても何から始めたらいいのか分からずに悩んでいたんです。

そんな時、森林認証のシンポジウムに参加する機会があり、有識者の方に相談しました。「北海道に住んでいるなら、下川町に行ってみたら?」というアドバイスをきっかけに、下川町の存在を知ったんです。

現在一緒に働いている2人のメンバーも移住者なんですよ!



下川町の先進的な取り組みは、全国的にも有名なのですね

下川町では「60年後も同じ森の姿でいられるように」と、伐採後に新しい木を植えるなどして循環型の林業を目指しています。

毎年どれくらい伐って植えるかという計画を立てているだけでなく、流通基準に満たない細い丸太などの森林資源も積極的に活用する取り組みも行っています。

例えば、製材には適さない細い木を炭にしたりするのですが、その炭を焼く時に出る煙を使って木酢液を作ったり。副次的なものをうまく活用して、次の商品につなげることも得意ですね。

 

−そんな下川町で始まったアロマブランドのアイテムは、どれも香りがよくて癒されました

森といえば、ヒノキ・ヒバ・スギなどの香りがおなじみだと思いますが、私たちのアイテムの香りは少し雰囲気が違うかもしれませんね。

私たちは「北海道モミ」と呼んでいる、北海道に生育する唯一のモミの木「トドマツ」を使用していまして、北海道の森らしい香りを感じていただけると思います。

 

−製品化の過程で苦労されたところは?

私たちが展開しているのは「FUPUNOMORI」「NALUQ」の2ブランド。

先に生まれたFUPUNOMORIは、北海道の植物から採れた香りをシンプルに楽しんでいただくことを目的にしています。

2015年生まれのNALUQは、オリジナルにブレンドした精油の香りを楽しんでいただくことが目的です。

 

FUPUNOMORI | アロマミスト

アロマミストは、1番のロングセラーアイテム。「プレーン」はトドマツそのものの香りなので、初めて私たちのブランドを知っていただいたタイミングでご紹介することが多いです。

開発の過程では、精油が水と分離することなく香りがきちんと立つ様に調整することが難しかったですね。

また、精油は成分上肌に直接つけない・プラ容器だと劣化しやすい、といった細かい注意事項も様々ありますので、容器の選定やお客様への伝え方などにも気を配りました。

 

NALUQ | リネンウォーター

新ブランドとして「NALUQ」を立ち上げることになったのは、それまでの化粧品関連の商品を見直したことがきっかけでした。

私たちが持っている原料をどのように商品に落とし込めば良いか悩んでいたときに出会ったオーガニックコスメを専門に取り扱う会社さんからのアドバイスで印象に残っていることがあります。

それまでトドマツ中心のアイテム展開をしていたのですが、「お客様にとっては、トドマツが使用されているかどうかはそこまで重要ではないのでは」という視点です。

トドマツだけにこだわるのではなく、北海道の森をよりイメージしていただけるようなアイテムを展開していこうと決めました。

 

−松ヤニの採取は、どのように行うのですか?

トドマツの場合、樹皮の部分からマツヤニが採れるので、近々伐採予定の木または伐採後の木から、手作業で採取しています。

アナログな方法なので人手があると助かりますが、私たちは伐採などのタイミングや天候に合わせて現場へ行くので、林業の作業との日程調整も直前になることが多く、事前に予定を組んで人員を集めることが難しい点が大変ですね。

それは、精油の原料となる枝葉を採取する際も同じで、その他の業務を調整しながら山に行く日を確保しています。

 

−エッセンシャルオイルをつくる工程は別会社さんに依頼しているのですか?

精油の製造については、私たち3人で森に入り、蒸留し、商品の発送まで全て自分たちで行っています!

(そうおっしゃいながら、その場で工場をオンライン案内して下さる田邊さん)

事務所を出ると、このように工場になっています。こちらが蒸留を行う機械です。

ある程度細かくした枝葉を釜に入れ、下から蒸します。集まった蒸気を冷却し液体に戻すと、芳香蒸留水と精油となって出てきます。比重の違いで、精油が上、芳香蒸留水が下、というように二層に分かれたところをそれぞれ採集します。

 

−1回の蒸留にかかる時間や量は?

トドマツであれば、1回およそ70〜80kgの原料を約2時間蒸留します。葉っぱがメインなので、木部の蒸留よりは比較的少ない時間で蒸留出来ます。

原料の状態にもよるので、重さも毎回バラバラです。香りの強い植物は精油が取れますが、私たちが蒸留しているシラカバの枝葉などは精油はほとんど採ることができず、芳香蒸留水のみを活用しています。

蒸留し終わった葉っぱも活用しますよ!ほとんどは農家さんの堆肥になりますが、枕に入れて「香り付き枕」として販売するなどしています。

実は、生の葉っぱを嗅いでもそれほど香りは感じられないんです。ちぎったり蒸留することで、中の香りの成分が出てきます。

 

−本当に余すことなく使っているんですね!
最後に、素敵なパッケージに込めた想いを教えてください。

もともとこの事業を担当していたこともある者が、デザインやビジュアル関連を担当しています。

本業が林業なので、撮影や表現の視点に、現場の感覚を活かしてもらっています。NALUQのロゴでは、「森のある暮らし」をイメージしやすいよう、オーストリアなどのヨーロッパの山小屋をイメージをしました。ユニセックスで楽しめる、シンプルなデザインを心がけて制作しています。 

 

森のある暮らしに憧れて、様々な方から情報収集をして実際に移住まで決断された田邊さん。その行動力にも驚かされました!

むやみに木を使うのではなく、伐採予定の木から原料を採取し、加工後の葉っぱまで余すことなく活用される姿勢を聞き、ずっと使い続けたくなるブランドだなと感じました。循環型の林業を目指す、森林資源豊かな下川町ならではの癒しの香りを身近に感じてみませんか?

 

PROFILE | 株式会社フプの森

フプの森

「北海道の素材であること」「高品質を追求すること」「森とくらすライフスタイルを伝えること」をコンセプトとした、北海道の北に位置する下川町で生まれたコスメ・ライフスタイルブランド。

    

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